「二連浩特市長来訪」 弁護士 加藤洪太郎
2001年秋、『二連浩特(ニレンホト)市』の市長さん特古斯氏が当事務所を訪問。
そこは、中国からイルクーツクそしてモスクワへと走る大陸間鉄道の中国側最後の街。
「我がまちはヨーロッパとの鉄路玄関口」とその顔は誇りに満ちている。
また聞けば「砂を掘れば恐竜の化石がいっぱい」。
そこで「博物館を建設中」とも。
その時、ワシントンDCで恐竜の化石を並べるスミソニアン自然史博物館が頭をよぎる。
ニレンホトも世界中から人を集めるだろう、と。
今は人口10万たらずの片隅の小都市であっても、こうして外部の日本から見れば、
その特徴が孕む可能性はまことに大きい。
ひるがえって、瀬戸市は?名古屋市は?尾張は?三河は?
中にいるときの視点では「瀬戸は中国の安い陶磁器に太刀打ちできんでいかんわ」
で終わってしまうことも。
だが瀬戸市に、全国から毎年若者が定員90名の定席めざして殺到する処がある。
陶芸作家めざして励む県立窯業訓練校がそれ。だが卒業すると居場所がなく、
また全国に殆ど散ってしまうとか。
支え合う環境やシステムが充分でないことも一因。
中国からみてもそういった地域は特徴あるまちに見える。
創作家めざす若者の坩堝(ルツボ)ともなれば、中国に輸出する魅力あふれる
日本陶磁器の出現も決して夢ではない。
日本文化にあこがれる高所得者層もまた数多いのが中国なのだ。
例えば彼らは「高くても資生堂」である。
そとから見れば「瀬戸にはよいものがあるに違いない」と期待する。
個性ある人々の力をあわせるその仕組みを設計するのも法律家の役目の一つ。
活人法務の道もまた創作性に富むべし。