「保護命令を知っていますか?」 弁護士 可児康広
保護命令を知っていますか。2001年施行されたDV防止法で定められた制度です。
例えば、あなたが夫から暴力を振るわれていた場合、夫に対し「自宅から2週間出て行け。」
(退去命令)、「6か月の間つきまとい、はいかいをするな。」(接近禁止命令)といった命令を
裁判所で出してもらうことができるものです。
保護命令を出してもらうには、地方裁判所に申立てをしなければなりません。
申立てが受付けられると直ちに裁判官の面接を受けることになります。
その際、夫からの暴力の実態について説明をすることになります。
一週間くらい後に今度は夫が裁判所へ呼び出され、裁判官に話を聞かれます。その上で、
申立てに理由があると判断されると、通常その場で夫に対して保護命令が言い渡されます。
保護命令の効力はこのときから生ずることになります。
保護命令が出されると裁判所から警察へ連絡が行きます。
連絡を受けた警察は被害者に連絡をとり被害者の身の安全の確保にあたることになります。
具体的な警察の対応は様々ですが、私の関わったケースでは調停の際の裁判所への送り
迎えや裁判所外の警備をしてもらったこともありました。
ところで、保護命令が出たにもかかわらず、夫が命令に違反し、例えばあなたに近寄ってきた
ような場合どうなるのでしょうか。
この場合、保護命令違反というこで夫は逮捕され、懲役あるいは罰金の刑罰を科されること
になります。実際に懲役8か月の実刑を科された者もいます。
このように保護命令は、DVの被害を受けてきた女性にとって大きな武器となるものです。
積極的に活用しましょう。
申立ての方法などわからないことがありましたら弁護士までお気軽にご相談下さい。