大矢喜美江さんは聴覚障がいがあり手話で意思疎通していましたが、交通事故に遭って、右肩関節、右鎖骨、左手関節に後遺症が残りました。そのため、手話でのコミュニケーションが不自由になったのですが、自賠責では、「手話機能の障害」は後遺症と認められませんでした。
そこで、「大矢さんにとって、肩や手の運動障害は健常者の発語障害と同じ」と訴える訴訟を申し立てました。
平成21年11月25日、名古屋地裁は、「聴覚障害者において、手話は相手方と意思を疎通する伝達手段であり、健常者の口話による意思疎通の伝達手段に相当するものであって、手、肩に傷害を負って後遺障害が残り、手話に影響が及んだ場合には、その程度によって後遺障害と扱うのが相当である。」との判決を言い渡しました。
手話機能障害が言語障害にあたると認めた判決は、わが国で初めてであり、テレビ、新聞でも大きく取り上げられ、ドイツの障がい者誌でも取り上げられました。