○ 交通事故で大腿骨骨折の大けがにあい、「人工骨頭挿入術」という手術を受けた方から依頼を受けました。
○ 主治医に後遺障害診断書を書いていただいたのですが、「可動域制限」(股関節が動きにくくなっている)部分の記載に不足があることを発見。追加検査を依頼しました。
人工骨頭を挿入した場合、その関節の可動域が「健側の2分の1を超える」ものは、自賠責等級表10級11号、「健側の2分の1以下に制限されているもの」は、自賠責等級表8級7号に該当するとされているからです。
追加検査の結果、「2分の1以下に制限されている」ことが分かりましたので、その追加検査結果と「8級7号に該当する」という意見書をつけて、自賠責に請求しました。
その結果、意見書のとおり、「8級7号に該当する」という認定を得ることができました。
○ 「8級7号」と「10級11号」ではどれだけ違うか。
自賠責からの支払額は、10級では461万円ですが、8級では819万円と358万円の増加です。「逸失利益」を計算する場合の「労働能力喪失率」は、10級では27%ですが、8級では45%。事故前の年収が400万円だったとして、1年分108万円の賠償(10級)にとどまるか、180万円の賠償(8級)を得られるかの違いがあります。
後遺障害慰謝料も、10級では530万円程度、8級では800万円程度と300万円近く増額されます(裁判所基準)。
○ 医師は医療の専門家ですが、自賠責保険の専門家ではありません。医師が作成した後遺障害診断書を法律専門家の目から見て、不足、不備がないかを検討することが大事です。今回のケースは、この検討を行った成果です。
○ 当事務所の「交通事故法務部」は、現在、後遺障害診断書のケース検討を行い、スキルアップに努めています。