例えば、あなたの車が信号待ちをしているところ、追突されたとします。
一般的には、追突されたこちら側に過失はありません。
なので、あなたは加害者の保険会社に、車の修理代を請求することができます。全損の場合は買い替える必要があるかもしれません。
修理に出している間も、車に乗れないと不便ですね。買い替える場合もすぐに車が納車されるわけではありません。
このような場合、通常は「代車」を使うことになるでしょう。
「相手が全面的に悪いのだから、代車費用も当然相手が支払ってくれるだろう」
原則としては、その通りです。代車費用も事故による損害だからです。
しかし、その期間にはご注意ください。過失がないからといって、代車をいつまでも使用できるわけではないからです。特に近時、加害者保険会社は、代車費用の支払い対象期間を厳しく見る傾向にあります。
例えば、単純な修理の場合には、加害者保険会社が「15日」や「3週間」以上の代車費用の支払いを拒むケースが多く見られるようになりました。
部品の取り寄せなど、修理に期間がかかる場合には、事前に保険会社に説明して了解を貰わないと、代車費用の支払い段階で揉めることになります。
特に問題となるのは「全損ではないけれど、事故の程度がひどいので、新車に買い替える」というケースです。
新車、特に人気車種の場合には、納車まで2,3カ月かかることも少なくありません。その間、漫然と代車を使っていると、いざ代車費用支払いの際に、加害者保険会社から「3週間分しか支払わない」と言われてしまい、残りの期間は自己負担となってしまう可能性があります。
こちらに過失がない場合には、こちら側の保険会社は交渉を代行してくれませんので、あなたが直接加害者保険会社と交渉しなければなりません。
こうした場合、代車費用はよく紛争の原因となりますのでご注意ください。
代車期間が長くなりそうな場合には、早い段階で弁護士などに相談されることをお勧めします。」
(弁護士 堀居真大)