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労働・雇用

パートタイマーを解雇された


私の妻が何年もパート勤めをしていたのですが、突然明日から来てもらわなくてよいと言われたんですよ。私の給料が安いもんだから妻のパートの収入がないと非常に困るんですが。パートだから何も言えないんでしょうか。


それは困りましたね。でも、パートだといっても雇主の言いなりで何も主張出来ないということではないのですよ。例えば一年更新で何年もパートを続けてきた人は、期間が来て雇主より更新しないと言われても当然には辞める必要はないのです。


どんなことが言えるのですか。


まず、裁判例では、何回も更新して働いてきたパートの人は理由なしでは解雇出来ない、すなわち普通の社員と同じように解雇するには「正当な合理的理由」が必要だとしています。ですから、単なる会社の都合だけでは解雇や更新の拒絶は認められないのです。
また、「正当な合理的理由」があっても、明日から来なくていいということは出来なく、すぐに辞めさせる場合は、雇主は1ヶ月分のパート代を支払わなくてはならないとされています(解雇予告手当)。


そうすると、妻も辞める必要はないということになりますか。


そうですよ。引き続き働かれたいなら、法律や裁判例を盾に頑張るべきです。もし、この際パートを辞めるとか、他に探すというのなら解雇予告手当を請求してよいということになります。但し、予告手当は1ヶ月先に辞めてもらうというときは請求出来ませんので注意してください。


もし、会社の経営が苦しいので辞めて欲しいと言われたら「正当な合理的理由」があるということになるのでしょうか。


「会社が苦しい、傾いている」というだけでは、「正当な合理的理由」があるということにはなりません。これも裁判例ですが、「整理解雇の5要件」といって、5つの厳しい要件を必要としていますので、簡単には解雇出来ないのですよ。


私は、パートは弱く、普通の社員の人と同じようにここまで保護されるとは思っていませんでした。


そうですね。知らない方が多いと思います。また、知っても諦めたり、泣寝入りということも現実には多いと思いますが、納得出来ないなら頑張ってみる価値はあると思いますよ。

労使問題の解決について

Q 
長びく不況のもと、解雇、賃金カット、過密労働、いじめ等労使間の紛争が多くなってきています。使用者にかけ合ってもまともな対応をしてくれない-こんな場合に手軽に利用でき、迅速な解決をしてくれる制度ってあるでしょうか?

A 
平成13年10月に施行された法律によって、システムが整備されてきました。労働者だけでなく、使用者も申立できるので、困ったときに大いに活用してみましょう。
 まず、県の労働局が取り扱うものから説明します。相手方当事者に対して、紛争の問題点を明らかにして解決の方向を示す「労働局長の助言・指導」を出してもらうよう申出ることができます。個別の労働紛争であれば何でも構いませんし、セクハラ問題についても女性の担当者がいるので安心して相談ができます。この指導・助言は相手方の任意の履行を期待するもので、強制力はありません。しかし、公的機関である労働局長が出すものですので、それなりの影響力はあると思います。
 この他に「紛争調整委員会によるあっせん」の制度があります。あっせんは、双方当事者から事情を聞き、問題点を整理したうえ、話合いを促進し、双方が求めた場合にはあっせん案を提示します。学者や弁護士など専門家による非公開の手続で、原則として一回で終了するようになっています。双方があっせん案を受諾すると、民法上の和解と同じ効力をもち、当事者双方はこれを守り、履行しなければなりません。
 以上で述べたものの他、県の地方労働委員会によるあっせんの制度もあります。紛争調整委員会によるあっせんとほぼ似ています。
 ここにあげた制度は、なるべく手軽に、早く解決することを目指していますし、手数料も必要ありませんので、安心して利用できます。個別の労使問題であれば何でもよいのですが、若干の例外があります。まず、電話をかけて相談してみましょう。県の労働局総務部企画室、栄・名駅の総合労働相談コーナー、各労働基準監督署、地方労働委員会へ問合せすれば、親切に教えてくれます。

賃金を支払ってもらえない

Q 
私はある会社で勤務していますが、この3ヶ月ほど給料を支払ってもらえません。社長に言うと、今会社も大変だからもう少し待ってほしいというだけです。どうしたらよいでしょうか。

A 
不況が長期化し、賃金を支払ってもらえないという相談が増えています。そんな場合の対応について説明します。
 賃金も金銭債権の一種ですから、賃金や売買代金のような他の金銭債権と同様に、調停、あっせん・仲裁(愛知県弁護士会のあっせん・仲裁センター)、訴訟を申し立てることができます。
  その他に賃金については次のような方法が考えられます。

1 労働基準監督署への申立
 賃金を支払わないことは労働基準法違反ですから、労基署にその是正を申告することができます。労基署は、使用者(会社)にも事情を聞き、場合によっては賃金を支払うように指導・勧告することがあります。但し、争いがある場合、労基署としては、当事者間で解決するようにというだけでそれ以上の指導はしていないのが実情です。

2 差押手続
 賃金債権は、法律上、優先債権(他の債権より優先して支払ってもらえる債権)となっており、先取特権があります。この先取特権に基づき、裁判所の命令によって訴訟手続などを経ずに、会社の財産(預金、取引先に対する売掛金等)を差押えすることができます。

3 未払賃金立替払制度
 会社が倒産してしまったような場合には、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づき、国から未払賃金の一部を立替払いしてもらうことができます。申立は、労基署に行います。

  2、3の手続きをとるには、要件や必要資料などいくつかクリアーしなければならない事項がありますので、弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。

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