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交通事故

交通事故の被害者になったとき

 当然のことですが,交通事故には被害者と加害者の両方がいます。どちらの立場に立っても交通事故では複雑な法律問題が起きますが,まず,被害者の立場からの法律問題について考えてみましょう。

Q.
交通事故にあった場合、まず,どんなことに注意したらよいのでしょうか。

A.
事故にあったら、必ず警察を呼び、実況検分をしてもらうことが必要です。実際の例では,怪我が大したことないと思って警察を呼ばなかったところ後でむち打ちなどの痛みが出てきたというものもあります。過失の割合をはっきりさせ正当な被害の補償をしてもらうためにも必ず警察に連絡をしてください。

Q.
示談はいつしたらよいのでしょうか。

A.
示談が成立すると損害額が確定し賠償問題が全部解決したことになりますから,示談交渉は慎重に行う必要があります。時期の問題ですが、交渉の前提として損害の内容が確定していなければなりませんから、怪我が治ったか、あるいはこれ以上治療をしても効果がないと判断されたとき(これを症状固定と言います)に示談交渉を始めることになります。従って、まだ治療をしたいときは、あわてて示談を成立させてはいけません。示談が成立すると示談で決められた金額の賠償金しか支払ってもらえなくなるからです。

Q.
経済的に苦しいので早く賠償金を支払って欲しいけれど怪我が重傷で症状固定していないので示談を成立させることができないという場合,いくらかの賠償金を予め支払ってもらうことはできませんか。

A.
たしかに治療が長引き仕事ができないと経済的に苦しくなる場合があります。このような場合、示談の成立の前であっても賠償金の一部を仮払いしてもらえることがありますので、加害者の保険会社に請求してみるとよいでしょう。

Q.
お医者さんからこれ以上治療しても同じだと言われました。これからどうしたらよいのですか。

A.
症状固定したということですから、示談の話し合いをすることになります。また、完治していない場合は後遺症の認定をしてもらう必要がありますから、お医者さんに後遺症の診断書を書いてもらい保険会社に提出し,後遺障害の認定手続を行ってください。

Q.
加害者の保険会社から示談してくれと言われ、休業損害、慰謝料等項目ごとに金額が提示されてきました。しかし,この金額が果たして正当なのかよくわかりません。また、損害額の算定基準にはいろいろな種類があるとも聞きました。どのように考えればいいのでしょうか。

A.
おっしゃるとおり、損害額の算定基準には様々なものがあるため、一般の人には分かりづらいものとなっています。算定基準には①自賠責保険②任意保険③裁判所(弁護士)と、それぞれの基準があり、慰謝料の金額一つとってもそれぞれ異なる金額が定められています。上記の基準では順番に金額が高くなり、裁判所の基準が一番高くなります。死亡事故や重傷の場合、裁判所の基準と任意保険の基準とでは合計額が何千万円と違うこともあります。保険会社はなるべく低い金額で解決したいと考えますので,低い金額しか提示してこないのが普通です。保険会社から示談金額が提示された場合、納得いかなければ最寄りの交通事故相談センターや法律相談所に行き,改めて相談員や弁護士に損害額を算定してもらうとよいでしょう。そして,それをもとに保険会社と交渉して下さい。ただし、実際には,保険会社に裁判所の基準に近い金額を了解してもらうことはなかなか難しいので、交渉に行き詰まったら,弁護士に交渉を依頼するか、調停などを利用するとよいでしょう。

交通事故の加害者になったとき

交通事故の加害者になった場合の法律問題を考えてみましょう。


交通事故を起こした場合、まずどんなことに注意したらよいのでしょうか。


これは「交通事故の被害者になったとき」でも述べましたが、事故を起こしたら必ず警察を呼び、実況検分をしてもらうことです。加害者の立場からしても,なるべく賠償問題でトラブルが起きないようにするため,警察に連絡することが必要です。


警察で取調べを受けることになった場合,注意することはありますか。


よく冤罪事件などで、自白の強要が行われたとか、暴力が振るわれたとか言われたりします。現在の交通事故の取調べで暴力が振るわれることはないと思いますが、自分の言い分を聞いてくれなかったということはあるようです。警察は,先入観でこちらが事故の加害者だと思い込んだり、既にできあがった筋書に沿うような供述を求めてくることがあります。警察も様々な事件に対処する必要があり忙しいので,特に交通事故のような日常的に頻発する事件は流れ作業的に処理したいと考えることが多いようです。そのため、後になって、自分の言い分を十分聞いてもらえなかった、自分の話したことと違うことが警察の調書に書かれた、ということが起こります。そこでぜひ次のことをしっかり頭に入れておいて下さい。交通事故に限らず、捜査機関が作成する調書は、本人の署名・指印がなければ証拠としての価値はありません。ですから、もし警察が自分の言い分を聞いてくれないのなら調書に署名・指印をしなければよいのです。取調では大きな精神的負担を受けますが,後悔することのないよう頑張ることが必要です。


加害者の場合,示談を成立させるためには,どのようにしたらよいのですか


任意保険に入っている場合は、普通,保険会社の担当者が示談の代行をしてくれます。ただ、保険会社に任せきりにするのではなく,自分でもお見舞に行き、いたわりの言葉もかけてあげるとよいでしょう。
自分で示談交渉をする場合は、相手の要求額が正当かどうかを知る必要がありますので、本を読んだり法律相談を受けるなどして必要な知識や情報を得る必要があります。


これまでの弁護士としての経験で何か最後にアドバイスはありますか。


交通事故では,被害者だけでなく加害者も悲惨な思いをすることになります。特に、任意保険に入っていなくて大きな人身事故を起こしてしまった場合,一生かかっても支払えないような賠償金の支払い義務を負うこともあります。保険料がもったいないから思って任意保険に入らなかったために平和な生活をすべて失うことになるのです。車を運転する人には必ず対人無制限の任意保険に入って欲しいと思います。

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