交通事故の加害者になった場合の法律問題を考えてみましょう。
Q
交通事故を起こした場合、まずどんなことに注意したらよいのでしょうか。
A
これは「交通事故の被害者になったとき」でも述べましたが、事故を起こしたら必ず警察を呼び、実況検分をしてもらうことです。加害者の立場からしても,なるべく賠償問題でトラブルが起きないようにするため,警察に連絡することが必要です。
Q
警察で取調べを受けることになった場合,注意することはありますか。
A
よく冤罪事件などで、自白の強要が行われたとか、暴力が振るわれたとか言われたりします。現在の交通事故の取調べで暴力が振るわれることはないと思いますが、自分の言い分を聞いてくれなかったということはあるようです。警察は,先入観でこちらが事故の加害者だと思い込んだり、既にできあがった筋書に沿うような供述を求めてくることがあります。警察も様々な事件に対処する必要があり忙しいので,特に交通事故のような日常的に頻発する事件は流れ作業的に処理したいと考えることが多いようです。そのため、後になって、自分の言い分を十分聞いてもらえなかった、自分の話したことと違うことが警察の調書に書かれた、ということが起こります。そこでぜひ次のことをしっかり頭に入れておいて下さい。交通事故に限らず、捜査機関が作成する調書は、本人の署名・指印がなければ証拠としての価値はありません。ですから、もし警察が自分の言い分を聞いてくれないのなら調書に署名・指印をしなければよいのです。取調では大きな精神的負担を受けますが,後悔することのないよう頑張ることが必要です。
Q
加害者の場合,示談を成立させるためには,どのようにしたらよいのですか
A
任意保険に入っている場合は、普通,保険会社の担当者が示談の代行をしてくれます。ただ、保険会社に任せきりにするのではなく,自分でもお見舞に行き、いたわりの言葉もかけてあげるとよいでしょう。
自分で示談交渉をする場合は、相手の要求額が正当かどうかを知る必要がありますので、本を読んだり法律相談を受けるなどして必要な知識や情報を得る必要があります。
Q
これまでの弁護士としての経験で何か最後にアドバイスはありますか。
A
交通事故では,被害者だけでなく加害者も悲惨な思いをすることになります。特に、任意保険に入っていなくて大きな人身事故を起こしてしまった場合,一生かかっても支払えないような賠償金の支払い義務を負うこともあります。保険料がもったいないから思って任意保険に入らなかったために平和な生活をすべて失うことになるのです。車を運転する人には必ず対人無制限の任意保険に入って欲しいと思います。
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