Q
長屋を2棟持っており、現在合計で6軒の方が入居されています。この長屋は先代から相続したもので、優に築50年は経っています。家賃収入はありがたいのですが、時々家賃を滞納される人もいるし、屋根の葺き替えでお金がかかったりで、私も年ですし、長屋経営自体がしんどくなりました。ここら辺で長屋経営を辞めたいと思っているのですが、どうしたらよいのでしょうか。できれば更地にした上で、土地を売却し、一切きれいにしたいのですが。
A
なかなか難しい質問ですね。長屋の賃貸借には借家法が適用されますが、借家法では、建物が「朽廃」するか、大家が自分でその建物を使用する必要性が借家人に勝るなど「正当な事由」がない限り、解約申し入れをしても認められません。大家が借家経営を辞めたいということは「正当な事由」とは認められないでしょう。日本の木造家屋は耐久性が高いので「朽廃」が認められることはめったにありません(現に6軒の方がすんでいるということは充分使用に耐えるということです)。借家経営から手を引く、一番てっとり早い方法は、長屋を敷地ごと売却することですが、この時代、6軒の人が入居している長屋をまとめて購入してくれる人を探すのは困難でしょう。
現実的なのは、長屋に居住している方に、1軒1軒事情を話し、合意を取り付けることです。3年後、4年後に立ち退いてもらうことにし、それまで賃料を無料にするとか、あるいは居住する部分の建物とその敷地部分を賃借人に買い取ってもらえないかと提案をしていくことです。縦割り長屋の各戸は通常縦断的に区分できるので、建物については区分登記をし、土地については分筆登記をした上で各戸を売却することができます。これらはいずれも交渉ですから、相手の返事次第で、絶対うまくいくとは言えませんが、誠意を持って申し入れをすること、急がないことが肝要です。 |